発達検査・就学相談と聞くと、戸惑うお家の方がおられるかもしれません。
しかし、見ないふりをして後回しにしていても、いずれは避けられない、もしくは、さらに状況が悪くなることがほとんどです。
身構えるよりも、そのような話が出た場合や、気にかかっているならばやってみる方が断然とよいのです。
入学前に検査や就学相談を受けておくメリット
1 客観的に理解できる
発達検査と聞くと、何かレッテルをはられるようで気がして、前に進めない方も多いのではないでしょうか。
しかし、そんなことよりも、大事なことはお子さんの成長ではないかということを強く申し上げたいです。プライドも必要ありません。真にお子さんのことを考えるのなら、今、何が必要かを大事にしていきましょう。
発達検査を学校で受ける場合は、お医者さんが検査をするわけではないので、診断名はつきません。
「得意なこと」と「苦手なこと」がはっきりするのです。どのようなことかと言うと、
・視覚優位である
・聴くのが苦手
・空間認知が苦手
・言語が得意
などがわかります。 「どうりで、〜だった」と、お子さんの困り感を理解する手助けとなります。
客観的に見ることで、新たなスタート地点に立てるのです。
そして、これらを理解することで、その子に合った手立てを考えることができるのです。
2 入学前から支援の仕方を検討できる
就学相談を受けると、特別な教室を言われるのてはないかと緊張感がはしる方もおられるかもしれません。
小学校で考えられる支援には、
・特別支援学校
・特別支援級
・通級指導教室
・(各学校にあるかもしれない)個別に対応した学びの場
・放課後デイサービス
などがあります。
支援学校は地域の学校とは別の学校に通うことになります。
放課後デイサービスは、放課後に預かってもらいます。様々な活動を通して学ぶ場です。地域によって、数も特徴も様々です。下校時に学校まで迎えに来てくれるところもあります。
就学相談では、入学に際してどのような環境、支援がお子さんにとってベストかを考えます。
お家の方が納得しないまま、進めていくことはありません。学校の様子などを聞きながら、気になることなどを相談していくとよいです。
「入学してから様子を見て、通級を考えてみましょう」となることもあります。
この時に、優先すべきことは何かを忘れてはなりません。それは、お子さんの成長です。
お家の方の思いなしに推し進めないですが、お子さんの状況を考えずに無理をした結果、入学後に大変な思いをしているお子さんはよくいます。「本来、この子が求めている環境はここじゃないのに、、」と、見ていても可愛そうになる子がいます。せっかく、就学相談を受けるのですから、お子さんにとってベストな選択になるよう、そして、それに伴って心配なことは全て聞いていきましょう。
お家の方が安心して、納得していない限り、どのようなよい支援でも、効果が出ないばかりか、マイナスになることも事実としてあります。
お家の方もお子さんも安心して入学できるようにするのが、就学相談です。大いに活用してください!
3 小学校の先生が気にかけてくれる
就学相談を受けると、相談にのった先生や、担任、学年の先生まで共通理解をしてくれています。
それは、マイナスに見ているわけではありません。むしろ、 早期に対応して、手立てをうとうとしているのですから、お子さんのことを考えているなという印象です。
そして、通常級であっても入学後にすぐに対応してもらえるのです。引き継ぎでの実態把握であっても、注目して見てくれています。もちろん、様々なお子さんがたくさんいるので、あれこれしてもらえるわけではありませんが、入学早々に、この子だなと、気にかけてもらえます。
また、支援級にしても、通級指導教室にしても、入学後に検討していては、すぐには入れません。
校内で検討されたり、そこから検査の予約をとったりと、時間が経ってしまいます。
「教室になじめない」「授業が合わない」となった時も、検査や就学相談を受けていれば、知ってくれていますので、話はスムーズに進みます。
通級指導教室もいっぱいで、定員オーバーの学校もあります。入る、入らないに関わらず、早めに受けておくだけで、スタートが全く違うのです。
4 相談相手が増える
他の保護者の方に相談したとしても、「大丈夫よー」と言われながらも、実は気がかりであるお家の方もおられるかと思います。
就学相談を受けると、学校の先生に相談できたり、様々な機関を紹介してもらえたりします。今までもやもやと抱えていたことを、一人で抱え込まなくてよくなります。
一度相談してしまうと、ハードルが下がるかと思います。
5 お子さんもお家の方ものびのび
お家の方は学校の様子を見ていないので、仕方ない部分もあるかと思います。しかし、お子さんが、1日中、自分に合わない環境で苦痛を感じている姿を見たらどうでしょうか。
そのような光景が学校にはあるのです。
人数が少ないところで、大勢とは違う授業を受けていることが可愛そうなことでしょうか。
特別支援学級は、ゆったりと、穏やかな空間で進んでいます。そこにいる子たちの穏やかな様子を見たらどうでしょうか。
また、週に1時間でも違う教室で自分に適した学習をすることで、学級での生活が過ごしやすくなるのならどうでしょうか。
お子さんは選べません。しかし、SOSを出している子もいます。SOSすら出さずにいる子もいます。そして、そのままにしていると
・学習の遅れ
・友達関係が築けない
・社会性の弱さ
など、課題がそのままになってしまいます。
その結果、
・力がつかない
・成功体験が積めない
・自己肯定感が低くなる
そして、
・無気力
・自暴自棄
などになってしまうかもしれません。これは、中学年くらいから出てくることが多い印象です。少し周りが見え始めて出てくる時期です。そこで、ようやくお家の方が、あたふたし出すことは、あるあるです。
とにかく、早めに対応してあげることが大切です。
検査や就学相談を受けており、子どもにとってよい支援を考えていることを伝えていれば、先生からも気づいたことを話してくれることでしょう。
早くに適切な支援を受けている子たちを見ていると、のびのび感や、成長が違います。子どもも早めの方がすぐに慣れます。そして、お家の方も、拠り所が一つできて、安心感がありそうです。相談相手が増えるというのもその一つです。
後になればなるほど、お家の方もふんぎりがつかずに迷われます。
そう言った意味でも、今の一歩は、結構大きな一歩であると考えられます。
迷われているなら、まずは園の先生に相談しましょう。まだ、半年以上あります。この夏の小さな一歩が、大きな一歩になりますよ。