「今日も行けなかった」
朝、子どもが布団から出てこない。
時計だけが進んでいって、家族みんながなんとなく落ち着かない。
「今日はどうする?」
「明日は行けるかな」
そんなことを考えているうちに、親のほうが疲れ切ってしまう。
そして夜になると、
「私の育て方が悪かったのかな」
「あのとき、もっと早く何かしていれば」
そんなふうに、自分を責めてしまう。
25年以上学校で不登校のお子さんを持つ親御さんと関わってきて、私は何度もこういう姿を見てきました。
何もしていない親御さんには、会ったことがない
25年以上、学校で子どもたちを見てきました。
家庭訪問に行ったり、保護者の方と話したりしていると、本当にいろいろなご家庭があります。
仕事をしながら、どうにか子どものことを支えようとしている方。
「甘やかしているのでは」と周りから言われて、悩んでいる方。
学校に行かせたほうがいいのか、休ませたほうがいいのか分からず、毎朝迷っている方。
それでも、みなさん何かしらしています。
子どもに声をかけたり。
学校と連絡を取ったり。
調べたり。
病院や相談機関に行ったり。
逆に、何もしないほうがいいのではと、じっと見守ったり。
25年以上見てきて、「何もしていない親御さん」には、一人も会ったことがありません。
それなのに、うまくいかなかった結果だけを見て、
「あのときの対応が悪かったのかな」
と、自分を責めてしまう。
でも、そのときは誰にも正解なんて分からないんですよね。
「休ませればよかった」も「行かせればよかった」も、あとからなら言える
不登校になったあと、保護者の方から、
「あのとき休ませていれば」
と聞くことがあります。
一方で、
「あのとき、もっと無理にでも行かせていれば」
という言葉を聞くこともあります。
一見、正反対ですよね。
でも、どちらもそのときの子どものために、一生懸命考えた結果なんだと思います。
結果を知った今だから、
「あのときこうすればよかった」
と思える。
でも、その時点では分からなかった。
子どもは一人ひとり違うから、誰かの家庭でうまくいった方法が、そのまま自分の子に合うとも限りません。
だから、SNSなどで
「早く対応したほうがいい」
「こうすれば学校に戻れる」
という情報を見つけても、それをできなかった自分を責めなくていいと思っています。
参考にするのはいい。
でも、誰かの正解を、自分の子の正解にしなくていい。
これは、不登校のお子さんと関わるときに、私自身が大切にしたいことです。
「行けなくなった」ではなく「止まれた」と考えてみる
もう一つ、学校に行けなくなった子を見ていて思うことがあります。
学校に行かないというのは、大人から見ると「できなくなったこと」に見えます。
でも、子どもの側から見たら、
「これ以上は無理」
と、自分を守るために止まったとも考えられます。
大人だって、体調を崩したら仕事を休みます。
それなのに子どもには、
「みんな行っているんだから」
と、頑張ることを求めてしまう。
もちろん、学校に戻れるようになることが、その子にとって良い場合もあります。
でも、まずは「なぜ行けないのか」「今、この子には何が必要なのか」を考える。
私は、そちらのほうが先なのではないかと思うようになりました。
学校に行かない間も、子どもの時間は止まっていない
不登校になると、
「このまま勉強が遅れたらどうしよう」
「将来どうなるんだろう」
という不安も出てきます。
それも当然だと思います。
ただ、学校に行っていないからといって、子どもの時間まで止まっているわけではありません。
家で好きなことをしている。
フリースクールで人と関わっている。
スポーツを続けている。
少しずつ勉強を始める。
誰かと話す。
何もしていないように見える時間の中で、心を休めている。
そういう時間も、その子にとっては必要な時間なのかもしれません。
実際に、学校を離れていた期間を経て、その後、自分に合う場所を見つけて動き出した子を何人も見てきました。
だから私は、
「今、学校に行けていない」ことだけで、その子の未来まで決めつけなくていい
と思っています。
まずは、お母さん自身が少し楽になってほしい
不登校になると、親はどうしても「子どもを何とかしなければ」と思います。
でも、ずっと緊張した状態で子どもを支え続けるのは、とても大変です。
だからこそ、
「今日も行けなかった」
ではなく、
「今日は家で過ごした」
と考えてみる。
「何もできなかった」
ではなく、
「今日は休むことができた」
と考えてみる。
すぐに気持ちを切り替えられなくても大丈夫です。
私自身、25年以上子どもたちを見てきて、不登校について考える中で、少しずつ見方が変わってきました。
以前は「どうしたら学校に来られるか」を考えることが多かった。
今は、「この子には今、何が必要なのか」を先に考えています。
その違いについて、そして実際に学校で見てきた子どもたちの姿について、もう少し詳しく書きました。
もし今、朝がつらくて、
「私のせいなのかな」
と自分を責めている方がいたら、よかったら読んでみてください。
不登校の朝に、親が自分を責めなくていい理由を、3つにまとめています。
→ 現役教員が語る、不登校の朝に「親が自分を責めなくて良い」3つの理由
少しでも、親御さんの肩の力が抜けるきっかけになればと思っています。