年長さんのお子さんがおられるお家の方は、小学校入学までに、あれこれと心配なことが出てくるかと思います。
その中の一つが、“ひらがな問題”
・ひらがなはどこまでさせたらいいの?
・ひらがなを全く読めないけど大丈夫?
・ひらがなに興味を示さないけどこのままでいいの?
・周りの人たちは無理に教える必要はないっていうけど本当?
など、それぞれに疑問を抱えておられるのではないでしょうか。
ずばりとお答えしますと、
“ひらがなはある程度できて入学が基本”となります。
その理由と、ある程度とはどの程度か、そして、今からした方がいいことをお伝えいたします。
ひらがなはできている状態で入学すべき理由
①入学後早々に困ってしまう
1年生1学期の授業と言えば「ひらがな」と言えるくらい、多くの時間数をつかいます。
ならば、ひらがなを丁寧にしてもらえるので、入学後でよいのではないかとお考えになるかもそれません。担任もひらがなが書けないことを前提として指導はしていきます。
しかし、それで大丈夫です!とは言い切れないのです。
学校によって異なりますが、50音の学習を終えるのが、だいたい5月下旬から6月中旬あたり、その後は、つまる音やのばす音、ねじれる音、そして、“はをへ”などの学習で、1学期終わりまでひらがなに関する学習は続きます。
しかし、その間と言うよりも、入学後からすぐに、配布物に書かれてある自分の名前を見たり、ロッカーなどの名札を確認したり、自分の名前を読まなければなりません。読むだけではなく、配られたプリントに名前を書かなければなりません。名前が書けないと、先生と一緒に書いたり、先生に書いてもらうことになります。
初めてのことだらけの4月は、指示などを黒板に絵カードなどで示したりします。そこから、次第に短い言葉も加えて示すようになってきます。そして、短い文になっていきます。そこには、まだ習っていないひらがなも含まれるわけです。もちろん、書くだけでなく、話しをしながら説明をしたりするわけですが、ひらがな学習を終えるまで、文字で示さないということはないわけです。
入学後からひらがなの生活は始まっているのです。
②興味を示すのを待っていては遅い
全くひらがなが読めない子は、30人学級で、2〜4人くらいです。
あとの子は、学習後の定着率は置いておくと、園の時にある程度触れてきているなという感じです。
しかし、全く触れてこなかったであろう数人は、お家の方が
「ひらがなに興味を示さなかった」
とおっしゃる方が多いです。そして、
「教えようとあれこれしたが、それでも覚えなかった」という方がおられる一方、
・興味を示してからでらいいと園で言われた
・あえて教えてこなかった
という方も一定数おられます。
では、小学校に入れば興味を示すのか?
確かに、毎日のひらがな練習と、おそらく、お家の方のあれこれとした声かけとで、文字というものに興味をもちはじめ、ひらがなや漢字など真似をして書き出す子もいます。
しかし、あくまでも感覚的にですが、興味を示すのが遅いのではないかと思います。
つまり、年長さんくらいでは、自分の名前を書いてみたくなったり、絵本や書かれている文字を読みたくなって、わからなければ聞いてみたり、それを真似して書いてみたりするものではないのかということです。
ひらがなとは、毎日の授業で学習して身につけるというよりも、自然とある程度身につけていく、ついていくものではないかと思うのです。
ですので、個人差で片付けると「興味を示すまで待ちましょう」となるのかもしれませんが、年長さんで興味を示していなければ、何か手立てを考えるべきです。
何度も1年生を見ていて、ひらがなに興味を示さなかったお子さんが、学習面で追い上げていったということは、遠い記憶をたどっても、1名いたかいないかくらいです。
ですので、興味を示さない時点で、何か考える必要があるのです。
③学習面で遅れる
ひらがなを学習した後は、自分で問題文を読んで課題を進めていくことが多くなります。
ひらがなを学習したと言っても、全く文字に関わってこなかった子が、50音をいきなり読めるようにはなりません。文字にある程度触れてきた子でも、すらすら読むことは難しいのです。
英語が読めない人が、英文の問題を解いているとイメージしてもらえたらよいです。わかるとこだけ、ぽつぽつと読む、、、しかも、わかる部分が少ない、、、それでは、全く文章の意味がわからないですよね。そして、問題を解くのですから、答えを書かなければなりません。
算数のテストでは、算数の力をはかるため、ひらがなを読めないことによって解けないということが極力出ないように、絵などが豊富につかわれおり、雰囲気で解ける問題が多いです。しかも、答えが数字や丸で囲むということがほとんどです。しかし、思考力が試されるような、少しひねった問題や、絵が手がかりとならない文章題は問題文が読めないので解けなくなります。
国語は日本語の学習です。1年生の国語のテストは、簡潔に、わかりやすく、ひらがなさえわかれば簡単なテストとなっています。答えがほぼ上に書かれていて、うつせばよい形です。しかし、例え問題文を読んであげたとしても、上に書かれてある文を読めなければ、その答えがどこかも見つけられません。普段の音読練習では、読むのでなく暗唱していることがほとんどで、どこに何が書かれているかわかっていないのです。
そして、テスト問題は、先生が読んでくれることもありますが、いつまで読んでくれるかは、学校によって異なってきます。
ひらがなを身につけて入学することが基本となる理由を3つご紹介しました。
今回は、長くなりましたのでここまでとします。次回は、“ある程度身につけて入学する”の、“ある程度”とはどの程度かをお伝えします。